鷹が飛んでるわ
この間の鷹の子らが
親元から離れて
もうあんなに上手に飛んでるねんな。
隣りのおばちゃんがため息ついて
丈乃丞の横に座って独り言。
むすこがな。
引きこもりやねん。
子どものころから
一等賞とれー。
勉強がんばれー。
えぇ、大学行けー。
一流の会社入ったら
もう安心やぞー。
そう思ってたのにな。
もう会社しんどーて行かれへんて、
玄関で泣いてん。
お父ちゃんが
戸惑った目をした後「がんばれー」って。
声、掛けたら息子な
顔を歪ませて部屋に戻って
出てこんようになって。
おばちゃん、
息子、もうすでに一生分、頑張ったんやで。
親のために。
休ませたり。息子に選ばせたり。
きっと息子も気づかんかったんちゃうか。
「僕の人生や、好きな道歩かせて。」って。