お盆やなぁ。
この時期になると、
丈之丞が子どものころを思い出すわ。
三輪のお山を登るおばあちゃんがな。
丈乃丞の隣に座ってん。
お山は坂が多いし暑いし
お茶休憩やったんかな。
そしたら・・・
じぃっと丈乃丞を見つめるねん。
ぜんぜん目を離さんと
じぃっと見つめるねん。
丈乃丞、怖くなってもて。
だって、
おばあちゃんが瞬きもせんと
ジーーーーと見つめてきたら
怖いやん。
それで、つい怒ってしもうてん。
今、思ったら
そんな怒ることなかったなぁ。
年寄りには
赤ちゃんや子どもは尊いもんや。
その小さくて尊いものを見つめる気持ち、
今はわかる。
赤ちゃんの光り輝く存在
無垢な瞳
子どもの純粋な表情
あどけない声
お盆が来ると思い出すねん。
ご先祖さまの 尊いものへのまなざし。
そのまなざしもまた
尊いもののひとつやってんね。